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ビデオ撮ったりブログ書いたりしながら、できるだけ、心だけでも、子どものままでいたいなと思う日々を送ってる。

このブログは、そんなハンサムクロジ(変な名前でごめん)が色々なものを見て、聞いて、触って「こうなのかも」「ああなのかも」と思ったことを綴るものだよ。

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セックスと死「イット・フォローズ」

RATING 星1星マーク星1星マーク星1星マーク星1星マーク星0.5半分の星マーク 4.4

2016.07.09

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夜道を歩いていて、誰かに後をつけられているような気がしたことはないだろうか。

振り返っても誰も居ない。しかし、前を向いて歩き始めると、足音だけは間違いなく付いてきている……。

これは"べとべとさん"っていう名前の妖怪の仕業だとされている。少なくても日本では。足音が聞こえてくるだけで、人間に危害を加えることはない。

そんな"べとべとさん"に似た不思議な存在が、アメリカの一部地域に出没するらしい。そいつも同じように人間に付いてまわるのだという。

ただし、"それ"はべとべとさんと違って人間を容赦なく襲う。後ろから付いてきた"それ"に追いつかれた人間は、ズタズタに殺されてしまうのだ。もちろん、べとべとさんみたいに可愛くない!

死ぬまで"それ"は追ってくる。逃げ続けなければ死ぬ。殺される。

そんな恐ろしい"それ"に追われ続けるホラー映画「イット・フォローズ」を観たよ。

どんな話なのか

好意を寄せる男の子ヒューと一夜をともにしたジェイ。しかし、事が終わるとヒューが豹変。ジェイを椅子に縛り付け、ある告白を始める。「俺が感染した"それ"をさっき車の中で君にうつした。"それ"に殺される前に誰かにうつせ」

"それ"はゆっくりと歩いてくる。"それ"は人にうつすことができる。"それ"はうつされた者にだけにだけしか見えない。"それ"は様々な人間の姿になり変わる。"それ"はうつした相手が死んだら自分に戻ってくる。そして、"それ"に捕まったら必ず死が待っている。

面白かったところ

少しネタバレが含まれてしまうかもしれないので、注意してほしい。結末に関わるようなことは書かないけど、知らない方が面白く観れるポイントがあると思う。

"それ"が怖い

「イット・フォローズ」は、あらすじにあるとおり、とにかく"それ(名前は無い)"から逃げまわるお話。"それ"は正体不明、原因不明、幽霊なのか実体があるのかもよく分からない。見るたびに姿や質量を変え、傷つけても効果はなく、とにかく黙々と感染した人間を徒歩で追い回す。

ゆっくりと歩いて近づいてくるので、自動車みたいな乗り物を使えば引き離すことはできる。でも残念ながら逃げ切ることはできない。"それ"はゆっくりだけど確実に、まっすぐ近づいてくるのだ。

この特性ゆえの演出が、とにかく気持ち悪くて怖かった。

遠くで何かが動いただけで視線が奪われ、だんだん近づいてくる"それ"によって画面が緊張感に支配される。神経を張り巡らせるうち、いつしか背景で歩いている人間すべてが恐怖の対象となっていく。

確実に近づいてくる恐怖にじわじわと蝕まれていく感覚は、とてもジャパニーズホラー的で面白かった。

"それ"はアメリカンホラーっぽく大きな音や表情で観客を驚かすようなことはしない。ビックリドッキリ系を期待すると拍子抜けするかもしれないけど、こういうじっとりとした存在は脳みその裏っかわにこびりつく。

今まさに周囲を見渡してほしい。自分に向かって、まっすぐ、ゆっくりと歩いてくる人間はいないだろうか。"それ"は自分以外の人にも見えているだろうか。

"それ"が気持ち悪い

追いかけてくるだけでも嫌な"それ"は、造形もとにかく不気味。なぜか寝巻きのような、下着のような、そういった姿で現れる。女性であれば胸をはだけていたり、全裸の時もあった。失禁しながら歩いてくるやつも居る。

分かりやすく手足が欠損しているようなことはないのだけど、だからこそ妙に気持ちが悪いのだ。

"それ"に取り憑かれた人間の死に方もひどい。"それ"は首を締めたり、体をバラバラにするようなことはしない。取り憑いた人間をめちゃくちゃにレイプして殺すのだ。男も女も関係ない。

見るに耐えない犯しっぷりで、見方によってはちょっとだけ笑えるかもしれないけど、実際そういう目にあったらと想像すると恐ろしくなる。

"それ"は、恐怖よりも先に潜在的に嫌悪したくなるようなタブーを突きつけてくるのだ。見ていてとにかく嫌な気持ちになった。

"それ"は何なのか

ここからはいよいよ作品の核心に触れる。映画を観終わってから読んでほしいポイントなので、回れ右してTSUTAYAに走ろう。

はい、では書いていくよ。

物語の終わり方には賛否両論あるようだ。多くを語らないラストが消化不良に感じる人、また逆に"それ"の正体や物語のその後についての考察を楽しむ人など様々だ。

ぼくはあれこれ考えるのが好きなので、鑑賞中からずーっと"それ"の正体を想像していた。

"それ"はセックスを通じて感染するため、性感染症やHIV感染症、あるいは"死"そのもののメタファーではないかと言われているこが多いようだ。

たしかに見た目も、殺し方も、どことなく性的で嫌な感じがする。メインのキャストはみな若者だし、そこでだけ繰り返される"セックスと死"は性感染症を想起させる。

また、いくら逃げてもゆっくりと確実に追いついてくるもの、感染した者へ順番に訪れるもの、という設定はまさに"死"だ。

ちなみにぼくはストレートに性感染症を象徴しているんじゃないかなって思ってる。

メインのキャラクターに精神的に成熟した"大人"が居ないからだ。死は平等だけど、全ての人間が無責任で節操の無いセックスを求めているわけではない。"それ"が"死"そのものだったら、もっと違う形の物語になっていたのではないだろうか。

なんとなく続編が作られそうな雰囲気を感じているけど、できたら"それ"の正体は明かしてほしくないし、なんなら続編も作ってほしくないなと思ってる。

なんというか、パラノーマル・アクティビティみたいになってほしくないんだよね……。

あ、あと全然関係ないんだけど、"それ"って見た目のグロいターミネーターみたいじゃないですか。んで、そんなターミネーターみたいのに追っかけ回されるジェイを演じるのが「ザ・ゲスト」のマイカ・モンローってのがまた面白いなと思いました。どんだけ追っかけ回されんだ、この娘は。

好きなシーン

  • マッマに跨がられて死亡
  • 窓割って入ってきた"それ"の失禁
  • 学校の窓で遠くから歩いてくる"それ"
  • ラストシーン

感じたこと

バーで行きずりのセックスとかダメ、絶対。あとね、「女なんだから男よりうつすの簡単だろ」なんて言っちゃだめだよね!

あと、まっすぐ歩いてくるだけで怖いってのは新発見だった。たしかにたまにそういう人を街で見かけるけど、すごく怖いもんね。ほんと、知らない人がずんずん歩いてきたらすんごい怖いから。なんかYouTubeとかでそういうドッキリ流行りそうだな。

こんな時に観たい

怖い思いをしたい時。性病の怖さを啓蒙したい時にどうぞ。

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