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ビデオ撮ったりブログ書いたりしながら、できるだけ、心だけでも、子どものままでいたいなと思う日々を送ってる。

このブログは、そんなハンサムクロジ(変な名前でごめん)が色々なものを見て、聞いて、触って「こうなのかも」「ああなのかも」と思ったことを綴るものだよ。

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最悪のラストとは「ミュージアム」

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おっす、ハンサムクロジや。

小栗旬さん主演の映画「ミュージアム」を観てきた。

この映画はヤングマガジンで連載されていた同名コミックを原作とした作品で、主人公の刑事役である小栗旬さんと、犯人のカエル男役をつとめた妻夫木聡さんの共演が話題となっている。

ぼくは原作を読んでいたので、不穏なラストやそこに至るまでの展開がどう映像化されているのか興味があって劇場へ向かった。

ということで、観て思ったことを書いておくよ。

ミュージアムとは

あらすじ

犯行現場に謎のメモを残した連続猟奇殺人事件。それは雨が降る日にのみ起こっていた。犯人はカエルのマスクを被ったカエル男。事件との関連性に気付いた沢村久志刑事はその姿を追うが、犯人に近づくにつれ逆に追い詰められていってしまう。カエル男正体、そしてその真の目的とは……?

映画「ミュージアム」は、前述したとおりヤングマガジンで連載されていた同名コミックを原作とした作品だ。

著者は巴亮介さん。第61回ちばてつや賞ヤング部門において「GIRL AND KILLER─オンナと殺し屋(試し読み)」という作品で大賞を受賞し、2013年から「ミュージアム(試し読み)」の連載を開始した。

これがヒットし、代表作「るろうに剣心」の大友啓史監督&主演・小栗旬のタッグで2016年に映画化。大友監督は2017年に「3月のライオン」の公開も控えているなど、コミック原作の映画作品を多く手がけている。

原作では残酷な描写が多く、途中で脱落する読者も少なくなかったそう。公開前は映画版もR15かR18になるのではと予想されていたものの、結局はレイティング"G"となり、誰でも観れる作品となった。

これについて大友監督はギズモード・ジャパンのインタビューに対して意図したものではなかったと話している。

編集したものを映倫へ見せたら、結果的に「G」(すべての年齢が鑑賞できる)だったんです。「えっ、どういうこと!?」と思いました(笑)。

ギズモード・ジャパン

そんな映倫も認めた健全映画「ミュージアム」は、原作の雰囲気を残しつつ、ライトなサイコサスペンスとして楽しめる作品だったように思う。

ライトなサイコサスペンス

被害者の"罪"になぞらえた殺人、ゲームのような残酷な殺し方、雨の中で起こる事件、周囲が見えなくなるほど追い詰められるワーカホリックな刑事……などなど、原作の設定からして過去に名を残した様々な映画作品をオマージュしたような内容だっただけに、その映画化ともなると"どこかで観たことある感"が強くなってしまう。

ゆえに、作品全体を通して"ライトなサイコサスペンス"という印象が強かった。

サイコスリラーの金字塔である「ソウ」や「セブン」はもちろん、韓国のサスペンス映画でよく見かけるような雰囲気もある。

ただし「ミュージアム」の場合は、そういった過去の作品にあったような"物語の見方をがらっと変えてしまう展開"が無い。残酷な描写やサイコパスな犯人像などは表現できているものの、それだけだったなという印象だ。

それでも、原作のラストは余韻と奥行きのあるものだった。本当にハッピーエンドなのか、それともバッドエンドなのか……はっきり描かれず想像力をかきたてられた。

しかし映画版のラストはそうならない。ここで詳しくは書かないけど、原作を超えるものではなかったように思う。

そもそも原作のラストでさえ作者が本当に描きたかったものではなかったのだそうだ。講談社コミックプラスのインタビューで以下のように話している。

連載を始める前に描きたいラストはあったのですが、表現的NGが出たので描けませんでした。

講談社コミックプラス

映画版でその真のラストシーンが再現されていたとしたら、それはとても面白い試みだったのかもしれない。

ただ、造形美術と俳優さんたちの演技は素晴らしかった。死体、雨、犯人の家など作品世界の作り込みも良かっただけに、演出と展開にもったいなさを感じる。

なんだか全体的に惜しいな、というのがぼくの感想だ。

原作と映画版の違い

次に、ぼくが気になった原作と映画版の違いについてまとめておく。ここからはネタバレが多く含まれるので、未鑑賞の方はブラウザバックしてね✋🏻

犯人が双子

一番気になったのがこれ。犯人のカエル男に双子の姉がいて、その姉がカエル男の担当医という設定になっていた。

カエル男の心情や過去について、それを一番理解している人間(=双子の姉)から語らせたかのかもしれないけど、ぼくはそこまで彼女が必要だとは思えなかった。カエル男自身の回想だけで充分だったんじゃないかな。

カエル男が死ぬ

映画では、担当医だったカエル男の双子の姉が、犯人を長年野放しにしていたことを後悔するかのように彼を毒殺してしまう。

が、原作では死なない。意識を失ったまま管につながれた状態で入院している。

犯人が死んでいないことで事件が本当はまだ終わっていないかのような余韻を感じられる。ぼくは原作の設定の方が好きだなあ。

光線過敏症は心因性

カエル男は光線過敏症だ。それゆえに日光の下で活動できず、雨の日にマスクを被って事件を起こす。

映画では彼が光線過敏症になってしまった原因について、体質ではなく心因性のものとされていた。悪意に囲まれて育ったためにそうなったという。

子ども時代に両親を殺害されたからなのか、あるいは両親からの悪意にさらされ自ら両親を殺害したからなのか……。原因は分からないが、霧島早苗が生まれながらのモンスターではなかったとされていた。

しかし原作は真逆。霧島早苗は生まれながらの異常者であり、両親を殺したことに罪悪感を持っている様子はなかった。

遺伝を感じさせるラスト

悪意に囲まれたために心因性の光線過敏症に侵された快楽殺人犯・カエル男こと霧島早苗。彼は双子の姉に殺害されて死亡、事件解決となりハッピーエンドかに見えるラストで、小栗旬演じる沢村久志の息子が光線過敏症を思わせるような首を掻く仕草を見せる。

カエル男に誘拐され、さらに世間からの悪意にもさらされてしまったがゆえに光線過敏症を発症してしまった息子にカエル男の意思が引き継がれてしまう……?

……というような終わり方が映画版オリジナルの展開。

しかし、劇中には霧島早苗が光線過敏症だったために狂気に堕ちてしまったというような設定は存在しない。つまり、息子が光線過敏症を患っているからといって、それが恐怖や驚きに直結しないのだ。

"あなたは最悪のラストを期待する"というキャッチコピーで宣伝されていたけど、もっと救いのない結末もあったんじゃないかな。

気軽にハラハラできる

普段サイコスリラーやサイコミステリーといったジャンルに触れる機会の少なかった方には、気軽にハラハラできる映画として楽しめるのではと思う。

主人公の妻と息子の行方を追う途中の展開、カエル男の狡猾な手口には驚かされるんじゃないかな。

ただ、普段からエグい映画を観ている人には物足りないかもしれない。長いし。良く言えば丁寧なんだけど。

以上、気になる方は劇場へどうぞ!

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