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グランド・イリュージョン 見破られたトリックレビュー

投稿時間2016.09.07シェア数5

事実だけの世界は息苦しい。
それが真実とは少し異なると分かっていても、それでもいいと楽しめる余裕って大事だと思う。

“嘘”と言うと角が立つ。それは、思いやり、空想、優しさ。夢を見せてもらっているのと同じで、現実逃避と同じかもしれないけど、それで救われるなら悪いことではないんじゃないかな。

一見まったくの虚偽であったとしても、別の方向から見るとそれは真実に変わる。
物事は全て多面体なのだ。

ぼくは、そういった多面体の優しさの中にいたい。つらい真実も目に見えなければ存在しないのといっしょ。
踊るのが誰かの手のひらの上であろうと、心地よければかまわない。映画「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」が差し出した手の平の上で踊りながら、そんな風に思った。

「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」とは

あらすじ

イリュージョンショーで不正に搾取された金だけを奪い続けるマジシャン集団、フォー・ホースメン。一度姿を消した彼らが再び出現、新たなショーでハイテク企業の不正を暴こうとするが、何者かによってイリュージョンは大失敗に終わる。その裏には、天才的ハイテクエンジニア、ウォルター・メイブリー(ダニエル・ラドクリフ)の存在があった。

映画自体のつくりそのものがマジック的

現実ではありえないような大掛かりなトリックと予想を裏切るような展開で話題になったマジシャン映画の続編「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」。

前作が好きだったのと、ダニエル・ラドクリフが悪役をつとめると知っていたのもあって、かなり期待が高まっていた。あの大魔法使いがタネも仕掛けもあるマジック映画の悪役、しかも科学の力を信じる天才エンジニアっていう皮肉が効いたキャスティングが面白い。

マジック自体がクールなのはもちろん、展開もスピーディー。はやすぎて頭が追いつかないかもしれないけど、大丈夫、問題ない。考える必要ないくらい映像だけで楽しめる。とにかく派手でかっこいい。アイロニカルな表現がたくさんあるのも良かった。

映画自体のつくりそのものがマジック的。派手さで圧倒して、欺いて、考えることを許さないエンターテイメント。皮肉を交えてのユーモアもマジシャンらしい。

前作につづいて、パート2でもフォー・ホースメンの手のひらの上で踊らされてしまった。

ということで、YouTubeに公開されている本編映像を見ながら、面白かったポイントを振り返ってみたいと思う。ちょっとでもネタバレが嫌な人は気をつけて。

派手でかっこいいマジック

「グランド・イリュージョン 見破られたトリック」の一番の面白いポイントは、ストーリーでもキャラクターでもなく、やっぱり“マジック”それ自体だと思う。特にこの雨を止めるシーンは最高にかっこいい。というかジェシー・アイゼンバーグがかっこいい。ジェシー・アイゼンバーグ大好き。

ちなみにこの雨を止めるマジックは CG ではなく、れっきとしたタネのある“手品”だ。雨が止まる瞬間に背景の照明が強く光るんだけど、この照明をストロボの代わりにして高速で点滅させ、残像現象によって空中に水滴が止まっているように見せているんだって。雨が空中に登っていくのも同じ仕組みだ。

説明されてもよく分かんないし、映画ではおそらく多少の CG が使われているとは思うんだけど……。それでもすごい。ちゃんと仕掛けがあるってのがね。

マーク・ラファロ

映画『グランド・イリュージョン』公式

映画『グランド・イリュージョン』公式

@GI4HM

『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』ワールドプレミア

マーク・ラファロ
「オヤスミナサーイ!タイヘン、オイシカッタデース!!」(日本語)

?????
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ジェシー・アイゼンバーグをはじめキャストが魅力的なのもこの作品の特徴なんだけど、なかでもぼくはやっぱりマーク・ラファロが大好き。

基本的にキュートでダンディなおじさんへの憧れが強いのだけど、この映画に関してはマーク・ラファロがダントツ。首をちょっと傾けてまばたきする仕草とか最高すぎる。

主人公が誰って決まっている様子のない本作でいちばん主人公っぽいのがマーク・ラファロ。過去にかかえたトラウマや苦悩、葛藤が垣間見れるのでキャラクターの魅力も強く出ていた印象。マジック的なトリックを駆使したアクションシーンもあったりして、大活躍だった。

映画『グランド・イリュージョン』公式

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戦神ラファロのマジックファイト。緑の巨人にならなくても、強かった!

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前作ではフランスの女性捜査官とのラブロマンスもあったりしたけど、今回はそれとは別のベクトルで深みの増したキャラクターになっていたように思う。

裏切られるラスト

前作では向かうところ敵なし、失敗や苦悩なんて微塵も見えなかったフォー・ホースメンのメンバーたち。しかし、今作ではいきなり失敗からスタートするうえ、強力な敵マジシャンの登場などで苦境に立たされっぱなし。

悩みながらなんとか計画を遂行しようとするも、本当に大丈夫なのかと不安になるシーンの連続……。それでもあっと驚くトリックと展開で観客を欺いてくれる彼らに、最後はきれいに裏切られてしまう。

たしかに「どや!びっくりしたやろ!」感はつよいけど、それでもかまわん。手のひらで踊らされてくれてありがとう。とにかく最後まで楽しく見れたよ。

フォー・ホースメンが踊らされていたのか、それとも踊っていたのか。果たして誰が本当の黒幕で、真実はどこにあるのか…?

ぶっちゃけ字幕だと追いつけないくらいのスピーディーな展開なので吹き替え版を推奨したいんだけど、劇場で公開されているのは字幕のみなんだよね……。ま、理解できなくても楽しいから、ぜんぜんいいと思うけど。ちゃんと理解したいならソフト版のリリースを待つのも手だと思う。

ぼくはあと3回は観たい!

考察してみた

さて、何も考えずに楽しめる本作だけど、よーく観察すればするほど面白いポイントがいくつかある。

劇中の小ネタから今後の展開にかかわる考察まで、少し多めにまとめてみたので、より深く映画の世界を知りたい方はチェックしてみてほしい。

OCTA 社は Apple をイメージしている?

最初にフォー・ホースメンの標的となった OCTA 社。個人情報を収集する技術を仕込んだスマートフォンを開発するなどろくでもない会社なんだけど、この OCTA 社、iPhone や Mac で有名な Apple 社との共通点が多い。

スマートフォンの発表会自体は珍しいものではないけど、最初に始めたのは Apple だった。

さらに、CEO が技術者ではなく、創業当時はダニエル・ラドクリフ演じるウォルター・メイブリーの開発に頼ってコンビで活躍していたというのも Apple とかぶる。Apple といえばスティーブ・ジョブズだが、最初期に開発された“Apple I”を作り上げたのはスティーブ・ウォズニアックだった。

スティーブ・ウォズニアックがその後 Apple を去ったように、ウォルターも OCTA 社を去った。ここも共通している。ウォズニアックはジョブズに復讐しようとはしなかったけどね。

ちなみに、ダニエル・ラドクリフのヒゲモジャ姿もスティーブ・ウォズニアックとかぶるところがある。かわいいモンスター。

映画『グランド・イリュージョン』公式

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@GI4HM

『グランド・イリュージョン 見破られたトリック』ワールドプレミア

ダニエル・ラドクリフ
「日本の皆さん。初めて日本に行ったのは12歳の時。以来、長年サポートしてくれて感謝しています。どうもありがとう」

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メンタリストには弟がいる

ぼくも大好きなキャラクター、フォー・ホースメンのメンタリスト&催眠術師であるメリット・マッキニー。彼を演じたウディ・ハレルソンには、劇中と同じく弟がいる。俳優のブレット・ハレルソンだ。

彼らは90年代の作品「ラリー・フリント」で共演しているんだけど、せっかくの双子役だし、今回も兄弟で出演したら面白かったかもしれないね。

絵になるバットマンコンビ

前作同様、今回もモーガン・フリーマンとマイケル・ケインの共演はしびれるものがあった。

彼らはクリストファー・ノーラン版バットマンでルーシャス・フォックスとアルフレッド・ペニーワースを演じていた。彼らが車の後部座席で並ぶシーンは、不思議と「うおお!バットマンきた!!」という気持ちにさせられる。

熟練俳優である彼らが言葉を交わすだけで不思議と気持ちが盛り上がる。あのシーン大好き。

チップの行方は?

さて、本編の考察へ。

劇中では明らかにならなかった、フォー・ホースメンが盗んだチップの行方についてから。

彼らが盗んだチップは途中までたしかに本物だったはずなのに、いつの間にか偽物にすりかえられてしまっていた。じゃあ誰がいつ偽物にすりかえたのだろう。

これ、おそらく盗んだ時点でチップは偽物だったんじゃなかろうか。

チップが保管されていた研究所の所長は、ラストシーンで“アイ”のメンバーだったことが明らかになっている。

フォー・ホースメンは「盗んだ時点ではたしかに本物だったのに!」と言っていたけど、そもそも“アイ”のメンバーが侵入していたのだとしたら、チップはそこに初めから存在しなかった可能性が高い。

とはいえ、劇中で明言されていたわけではないので、新たな強敵の存在を感じさせる「チップがいつの間にかすり替えられていた」というこの伏線は、続編のストーリー展開によって回収方法が変わってくる可能性もある。

続編あるかなあ。あったらいいなあ。

ディランの父親が死んだ本当の原因は

続いて、ディラン(マーク・ラファロ)の父であるライオネル・シュライクの死の真相について。

前作では事故死ってことだったんだけど、今作では一転して他に理由があるかのような描かれ方をしている。

シュライクは川に沈められる金庫から脱出するというマジックを失敗して死んだとされているものの、盟友であるサディアス・ブラッドリー(モーガン・フリーマン)が「そんな失敗するような男ではない。必ず袖の下に奥の手を仕込んでいた」と発言している。

ではなぜ、彼はマジックに失敗して死んでしまったのか。誰かの陰謀なのか、それとも本当に事故死だったのか?

これについても続編で明らかになる可能性が高い。続編があれば、だけど……。

近すぎて見えない

グランド・イリュージョンには「近すぎて見えない」っていうワードがよく出てくるんだけど、それを体現するようなラストはとても良かったように思う。

でもね、近すぎて見えないことって別に悪いことじゃない。見たいものだけ見る世界は、とっても平和だ。

見たくないものを見たくなったら、その好奇心にまかせるのもいいし、そうじゃないなら無理しなくったっていいんだよ。だれも責めやしない。自分の見ている範囲が狭いことを理解しておく必要はあると思うけどね。

それでもぼくは、できるだけ色んなものを見たい。どこを見れているか確認しながら、いろんなものを見て、いろんな考えかたを理解したいなと思った。

あと、マーク・ラファロ。ぼくはいつかマーク・ラファロみたいになりたい!かっこいい!!