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ビデオ撮ったりブログ書いたりしながら、できるだけ、心だけでも、子どものままでいたいなと思う日々を送ってる。

このブログは、そんなハンサムクロジ(変な名前でごめん)が色々なものを見て、聞いて、触って「こうなのかも」「ああなのかも」と思ったことを綴るものだよ。

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賽の河原「トライアングル」

RATING 星1星マーク星1星マーク星1星マーク星1星マーク星1星マーク 5.0

2015.11.03

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ぼくも時々デジャブ的なものに遭遇することがある。

しかも「この場面、前に一度見たことがある!」っていうレベルじゃなくて、過去に何回も体験したことを思い出すような、不思議な気持ちになることが多い。

「あぁ、またか」みたいな感じ。初めてのはずなのに「またかよ、めんどうだな」みたいなテンションになる。

その感覚自体に偽りはないとはいえ、実際にはぼくが同じ場面を体験したわけでもなんでもなく、もちろんただの錯覚だってことは充分理解しているので、「わぁ、デジャブだ!」ってなったからってどうってこともないんだけど……。

仮にそのデジャブ的な感覚が、錯覚ではなく真実だったとしたらどうだろう。

実はなんども同じ人生を繰り返し歩んでいて、その断片がデジャブとして語りかけているのだとしたら……?

……っていうのをホラーっぽく描いた(冒頭だけね)映画「トライアングル」を観た。

タイトルやポスターがすっごく安っぽくて、観る前はちょっとばかし不安だったんだけど、いやはや、すごく面白かったよ。

運命と戦え

まず、あらすじから。

ヨットセーリング中に嵐に襲われたジェスらは、目の前に現れた大型客船に命からがら乗り込み難を逃れる。しかし、船内には人がいた形跡があるものの誰もおらず、探索していると覆面をした人物が現れ次々と命を奪われていく。1人生き残り甲板に逃げ出したジェスは、転覆したヨットから客船に向かって助けを求める自分たちの姿を目撃する。

映画.com

この映画、できれば前情報無しで観ていただきたい。以下に続くぼくの感想は無視して、今すぐレンタルビデオ店へ向ってほしい。

何を書いてもネタバレになるし、なんなら予告動画でさえもネタバレしてる思う。「ラストが読めない面白い映画」っていうワードだけでピンとくる方は、さようなら。迷わず観るんだ。

……はい、ここからは映画を観た人だけが読める文章です。ネタバレしかないからね!

というわけで、まず感想なんだけど、率直に面白い映画だったなって思う。

分かりやすいプロット、先が読めない展開、意外性のあるラスト、鑑賞後にあれやこれや話したくなる余白も含め、楽しい作品だった。

いわゆる"ループもの"と呼ばれる作品で、繰り返す運命を捻じ曲げて抜け出すために、主人公のジェス(一児の母)が奮闘するというストーリーなんだけど、そのループの仕方がとっても気味悪い。

主人公の意識はそのままに、それ以外の全てがあるきっかけで繰り返してしまう……っていうのがよくあるループものだと思うんだけど、「トライアングル」はちょっと違う。

繰り返す、というより"増える"のだ。

舞台は海の上。ヨットで遭難し、助けを求める男女5人が巨大な無人旅客船に侵入するところから世界が歪みはじめる。

見えない敵、自分と同じ姿のナニカと対峙しながら、仲間を失い孤独になったジェスが甲板で呆然と海上を眺めていると……なんということでしょう。そこにはヨットで遭難し助けを求めている男女5人の姿が……。

そう、数十分か数時間前の自分たちが、海の遠く、どこからともなくやってくるのだ。

彼らは増える。全員死ねば、同じようにまた流れ着く。船上に一角に死体は溢れ、唯一生き残った何人ものジェスは、この"ループ"から抜け出すためにそれぞれ奮闘する。

なぜ世界が歪んでしまったのかってのは置いておいて、とにかく脱出のために必死なお母ちゃん……。

増えたり死んだり戦ったり殺したりとなんだかいろいろめちゃくちゃなんだけど、意外とずっとドキドキしてられて楽しい。中盤は船上で起きていることがどう収束していくんだろ、っていう期待も高まる。

いろんな映画があるけど、ラストが読めないっていうのは単純にワクワクするもんだよね!

後悔と罰のループ

でね、まぁ、どんなラストだったのかっていうのはとりあえず実際に観ていただくとして、そのラストについていろいろ書いていこうと思う。

しかしさ、あのラストいいよね。サプライズがたくさんあって素晴らしい。

まず、映画冒頭の真の意味が分かる。「あのセリフってあんな意味だったの!?」「あのカットってこういうシチュエーションだったのか……」っていう驚き。うまい!!

ジェスに対する印象がガラッと変わるのも良い。船上では「息子を想う意思の強い母」っていうイメージだったんだけど、実は違うっていうね。ヨットに同行していた女性が妙にジェスを嫌っていたことにハテナマークが浮かんでたんだけど、ラストを観るとそれにも納得できる。

でもね、帰ってきたジェスは違う。息子を守るために必死なうえ、船上でいろいろ経験してるから躊躇がない。

全てを精算し、過去の自分を悔いて、やり直そうと決意するんだけど、その瞬間に未来が絶たれてしまうっていう……。

その時に生まれた息子への罪の意識と後悔が、罰としてのループを産んでしまったのかなと、ぼくはそのように解釈したんだけど。どうだろ。

ところでさ、劇中にも似たような話が出てくるんだけど、日本には「賽の河原」っていう言葉(っていうか迷信っていうか)があるよね。

死んだ子供が行く所といわれる冥途(めいど)の三途(さんず)の川の河原。ここで子供は父母の供養のために小石を積み上げて塔を作ろうとするが、絶えず鬼にくずされる。そこへ地蔵菩薩が現れて子供を救うという。

コトバンク

ちょっと違うんだけど、主人公のジェスはこんな状態だったんだろうなと。

何度も何度も繰り返すけど、絶対にうまくいかない。これならいけるって石の積み方を変えたところで、崩す鬼にとっては小さなことでしかないんだな。

ヨット、船上、自宅のトライアングルから抜け出せず、延々と周り続ける無限地獄。きっと生前の罪を償う地獄があるとしたら、きっとこういうものなんだろうなぁ。

そんな風に思ったのでした。

明らかになっていない部分への考察

ちなみになんだけど、いろいろと明らかになっていない点があるので、ちょっとだけ考察してみる。

これはぼくの解釈であって答えではないので。念のため。

ジェスの記憶がリセットされるタイミング

まずジェスの記憶がリセットされるタイミングなんだけど、これはヨットでうたた寝して目が覚めた瞬間だと思われる。

この時にループを夢と解釈してしまっているようだった。それまでは前ループの記憶が残っていて、息子を救うべく新たなループに飛び込む決意を秘めていたよう見えた。

ジェスは生きているのか

次、ジェスは生きているのか、死んでいるのかなんだけど、これは死んでいるのだと思う。

息子につらく当たったあと、自動車事故で自分と息子が死亡。この時の後悔と「もう一度生きたい」という意思が「ヨット」「船上」「自宅」のループを作り出して、無限地獄へ落ちてしまったのではないだろうか。

ループを作ったのは誰なのか、自分自身かもしれないし他の誰かかもしれない。ぼくは"他の誰か"だと解釈した。

タクシーの運転手は誰なのか

その"他の誰か"がタクシーの運転手である。

事故のあと自分と息子の死体を見つめるジェス(おそらく霊体)に対して、タクシーに乗るよううながす運転手。彼はおそらく死神的な存在で、「戻ってくるか?待ってるよ」というセリフと、それへの返答によってループが完成しているように見えた。

あそこで戻ってくると言わなければ、ループから解放されるのかもしれない。でもね、抜け出せないよね。息子、大事だもんね……。

というわけで、まぁ、ここまで読んだ人はもうすでに鑑賞後だとは思いますが、何度観ても面白い作品ですので、また観てみてはどうでしょ。

新たな発見があるかもしれないですよ。ではでは。

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